国際バカロレア教師の資格取得方法
国際バカロレアを教えられる先生が少ない問題
久しぶりに文部科学省のIB教育推進コンソーシアムにて、どのくらいIB認定校が増えたのかチェックしてみました。
以下の通りでした。
国際バカロレア認定校等数:146校(令和元年7月24日時点)
PYP 認定校38校 候補校等18校
MYP 認定校18校 候補校等14校
DP 認定校46校 候補校等12校
認定校は102校、候補校を入れて146校とのことですね。
う~ん。まだまだ200校には程遠いですね。
英語人の先生獲得は経費が掛かるし定着しない。
国際バカロレアが広がらない理由は、諸々あると思うのですが、
教える側の人材不足というのも一つあるのではないかと思います。
私自身は日本語DPじゃない派ですので、もっと沢山の英語人(英語を流暢に話せる人:子供達がよくそう言います。)の先生が日本に来てお仕事してくれたらいいのにと思っていますが、質の良い外国人の先生を確保するにはなかなか難しいようですね。
おそらくうちの子供達の学校では中学高校合わせて十数人の英語人先生がいると思います。
ずっと長くいてくれる先生と、1~2年で学校を去っていく先生とがいますね。
ずっと長くいてくれる先生は多くの場合は日本人の奥さんがいたり、お子さんが日本の学校に通っていたりしますね。1~2年で去っていく先生は、キャリア志向でより良い条件の学校に転職したり、また母国に帰って再就職されることも多いですね。けっこう渡り鳥みたいな先生も多くて、次のアジアの国に飛び立っていく方も多いように思います。
優秀な外国人の先生を確保するのは大変なようです。しかもIB資格取得者を探すのはより困難でしょう。
人材獲得にはお金もかかるということです。
ちなみにうちの子供達の学校では、国際バカロレアクラスは普通クラスの学費に加えプラス3万円/月がかかります。(泣)たしか「国際バカロレアクラス維持費」みたいな名称だったと思います。維持するのに経費がかかるんですね。
学費が高いのはまあまあ負担ですけど、子供達を見ていると本当に恵まれた教育を受けているなと満足です。
日本人IB教師は?
さて、ネイティブのIB教師が沢山獲得できれば問題はないのですが、実際は難しい。ならば日本語DPも出来たことだし、自前(国産?)の日本人IB教師をたくさん排出したいところではありますが、これもなかなか難しいのではないかと思います。
原因はいろいろあると思いますが、「IBを教えられる人がいない」っていうのも大きいのではないかと憶測します。
なぜならいわゆる普通の(一条校の)教育を受けてきた私たちがIBを本当に理解するのってそんなに簡単なことじゃないです。しかも人に教えるなんて、非常にハードルが高いです。
IBでは常にクリティカルでいて、テーマすらも自分で設定して、深く探求していかなければなりません。これまで指導要領を手元に、いわゆる模範解答を示すとういう方法でやってきた先生には難しいのではないでしょうか。
今は日本国内において国際バカロレアが普及していく過渡期にあると思います。今頑張って教えてくださっている先生方には当然のことながら感謝していますと同時に、今IBの勉強をしている子供達の中から将来のIB教師が誕生してくると頼もしいですね。
国際バカロレア教師になる方法
IB認定校の教員等に関する要件について、資料を見つけました。
文部科学省さんの資料のようです。
ドメインにMEXT(文部科学省)の文字がありますね。
ちなみにMEXTの正式英語名称は、the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technologyだそうです。余談です。
これを読ませていただくと、IB教師になる方法は大きく分けて2つあります。
IB認定校での活動に従事する教員等は、IBの理念やプログラムの内容に精通している必要がある。このため、国際バカロレア機構は、認定校の教員等に対し、以下のいずれかを求めている。
①IB主催のワークショップへの参加、又は、
②大学等のIB研究コースの修了等による認定書(IB certificates)の取得
IB主催のワークショップ に参加するか、 大学等のIB研究コース で学ぶか
①のIB主催のワークショップへの参加というのは、認定校になる予定の学校の先生が、認定校になる前にIB教育とはなんぞやを学ぶ場です。
そして②は、大学や大学院などでIB教員の育成プログラムを通じてIB教員の資格が取れるよ、ということになります。
実は一番最初に、そんなコースがあるんだと気が付いたのは、ICUのことを調べていた時なんです。
ICUの場合は、大学院にこのコースがあります。
詳しくはこちらを>>>IB教員養成プログラム
IB Educatorを育てるプログラム
本プログラムは、将来的にIB認定校で教鞭をとることを目標にしたICUの大学院生(5年プログラム生を含む)を中心に展開され、受講者は中学校相当のMYP、または高校相当のDP のいずれかを選択し、IB認定校における教育実習を含む所定の科目を履修します。プログラムを修了した学生は、IBOが発行するIB Educator Certificateを申請することができます。
こちらはIB教員養成プログラムのパンフレット(PDF)です。
「新プログラム案内」「starts in 2019」と書かれていますので、出来たばかりのコースのようです。
なるほど。
そうです、こうなってしかるべき、です。
IBで学んだ学生や、こうしたIB教員養成プログラムで学んだ学生が、今度は自身が先生になってIBを広めていく!
これが順当です。時間はかかるけど。
だからもう数年すれば生粋のIB育ちのIB-teacherが活躍し始めて、もっともっとレベルも上がってくるでしょうね。
若手IB-teacherに期待。これは頼もしいです。
結局世の中を変えるには、時間はかかるけど教育のところなんだと思います。
世の中がおかしくなっていくのも、根っこは教育。
これまで教育をなおざりにしてきたから、日本がこんななっちゃったって言っても過言じゃない。
IB教員になるためのプログラムがある大学
では他にはどんな大学でIB教員資格を取得できるプログラムがあるのでしょうか。
<日本の導入例>
大学名 | コース名 | 導入年 |
玉川大学大学院教育学研究科教育学専攻修士課程 | IB 研究コース | 平成 26 年 4 月 |
岡山理科大学 | IB 教員養成コース | 平成 29 年4月 |
都留文科大学 国際教育学科 | 平成 29 年4月 | |
筑波大学大学院教育学研究科 | 教育学(国際教育)修士プログラム | 平成 29 年4月 |
国際基督教大学大学院 アーツ・サイエンス研究科 | IB(国際バカロレア) 教員養成プログラム | 2019年 |
となっています。
まだまだ少ないですね。
海外のIB教員養成コースがある大学はこの資料の時点では23校です。
<海外のIB教員養成コースがある大学>
Adrian College | USA |
Bethel University | USA |
Bilkent University | Turkey |
Bremen University | Germany |
California State University San Marcos | USA |
Curtin University of Technology | AUS |
ECIS | UK |
Flinders University | AUS |
Fairview International University College | Malaysia |
George Mason University | USA |
Hong Kong Institute of Education | HK |
Institution of Education University of London | UK |
Loyola University | USA |
Melbourne University | AUS |
Murdoch University | AUS |
Oakland University | USA |
Royal Roads University | Canada |
Universidad Camilo Jose Cela | Spain |
University of Bath | UK |
University of Dundee | UK |
University of Durham | UK |
University of Hong Kong SAR | HK |
University of Sussex | UK |
国際バカロレアの教師になるという仕事
わかったことは、IB教員の養成コースはまだ世界で30校ないということ。
この数字をどのように受け止めますか?
今世界の国際バカロレアスクールが5,100校を超えました。それに対して、IB teacherを要請する学校が30に満たないということは大変な希少価値ですね。
すっごく乱暴な言い方かもしれませんが、IB教師の資格があれば「食いっぱぐれない!」のではないでしょうか。
私の古い話で恐縮ですが、IB教員という選択肢があるなら教師も考えたのにな、なんて。
私は教育学部社会学科の出身です。その中でも専攻は「人文地理学」というもので、その土地に人がいて、地形があって気候あって、文化風土があって、それらを横断的に理解する学問でした。今思うと国際バカロレアでやっているような横断学習やリベラルアーツに非常に近いものだったような気がします。
当時、地理学の学卒が学んだことを活かして就職できるところって、国土地理院か社会科の教師くらいしかなかったです。どちらも興味がなかったので、まったく関係のない就職をし、大学で学んだことはすべて過去のものとなってしまいました。
あの時教免取っておいたら国際バカロレアの教師になるという仕事もあったかもな…。と勝手に思っております。
さておき、IB教師がこれからの新しい人気職種になるといいですね。